新年号初めての年末年始を皆さま、いかがお過ごしになられたでしょうか。
さて、クレーン講座第10回は、性能検査について、検査の概要と事前準備についてご紹介します。(なお、該当するクレーンはつり上げ荷重が3t以上のクレーンです。)
前回ご紹介した落成検査を受け合格するとクレーン検査証が交付されクレーンが使用できるようになります。
ただし、このクレーン検査証の有効期限は2年間です。よって、有効期限が来る前に検査証の更新が必要となります。
この検査証の有効期限を更新するのが、性能検査です。
性能検査の申し込みは、クレーン性能検査申請書を所轄労働基準監督署長に提出します。
検査は厚生労働大臣の登録を受けた登録検査機関(クレーン協会や民間の検査会社)が行います。
性能検査に受ける事前準備としての一例をご説明します。
・クレーンの清掃
クレーンに付着している埃や油等の汚れを取り、亀裂等が無いかを確し易くする清掃作業を行います。クレーンの状態が確認できない程汚れているクレーンは、検査官に指摘されます。
・クレーンの点検整備
クレーン各部の点検(各ブレーキの分解点検、サドル・ガーターの亀裂やボルト点検、電気系統の点検など)を行い、消耗品の交換(巻上ワイヤーロープ、電磁接触器接触器や電源集電子、巻上オイルなど)や不具合を修理して、安全にクレーンが稼働する状態にする為の整備を行います。
・荷重試験の準備
荷重試験を実施するために、定格荷重分のウエイトとそれに対応した玉掛けワイヤー等の玉掛け用具を準備します。
定格荷重分ウエイトが過不足なく必要です。当該するウエイトが無い場合は当社で手配も可能ですのでご相談ください。
・検査場所の整理整頓
運転試験における作動範囲の整理整頓を行い、当日検査が安全に出来るように、検査場所の確保を行います。忘れがちなのが点検台への登り口の昇降はしご周辺です。検査官の昇降がスムーズに出来るような状態に整頓しておきます。
・データ測定
定格荷重分のウエイトを事前に吊って、巻上ブレーキの滑りテストや、クレーンガーターのたわみ測定、巻上・横走行の各モーターの電流値などの測定を行いデータ表に記録します。クレーンガーターのたわみ測定は、当日検査官も行います。
・各種書類の準備
クレーン検査証、定期自主検査の記録(過去2年間分 月例点検表と年次点検表)、設置届などの書類を用意します。検査当日に慌てて探すことが無いように前もって準備しておきます。
などの事前準備を行う必要があります。検査当日に向けて万全の準備をしておきましょう。
次回は、検査当日の流れについてご紹介します。